DXお役立ち情報
公開日:
# DX
# 業務課題

「システムを入れたのに、かえって入力の手間が増えてしまった」
「DXを進めたいが、何から手をつければよいのか分からない」
——このような悩みを抱える経営者・担当者の方は、決して少なくありません。こうした声の背景には、多くの場合「業務整理」が十分に行われていないという共通点があります。 本記事では、業務整理がDXの成否を大きく左右する理由と、業務棚卸し(※)の具体的な進め方、よくある失敗とその対策を整理します。
※業務棚卸し:
社内で行われている業務を一つずつ洗い出し、担当者・頻度・所要時間・使用ツールなどを一覧にすること
業務整理とは、今ある業務を見える化し、ムダ・重複・属人化を取り除いたうえで、あるべき業務の形を決めることです。
大きく分けると、次の3つの要素で構成されます。
要素 | 内容 |
|---|---|
見える化 | 業務棚卸しや業務フロー図の作成により、「誰が・何を・どのように」行っているかを把握する |
課題の特定 | ムダな作業、二重入力、特定の担当者しか分からない業務などを洗い出す |
あるべき姿の設計 | やめる業務・まとめる業務・デジタル化する業務を決め、新しい業務の流れを描く |
まずは「業務整理=システム導入の前準備」ではなく、「DXの本体の一部」と捉えることが出発点です。業務整理に時間をかけることは遠回りではなく、導入後の手戻りを減らすための投資と考えると、社内でも合意を得やすくなります。
システムやツールは、今の業務をそのまま速く、正確にするための手段に過ぎません。本来の目的は業務改善であり、前提となる業務整理をせずに導入すると、次のようなことが起こりやすくなります。
ムダな業務まで「デジタル化」される:
本来やめてよい作業がシステム上に残り、手間が減らない
ツール選定の軸が定まらない:
「何を解決したいか」が曖昧なため、機能の多さや価格だけで比較してしまう
現場に定着しない:
現場の実態と合わない仕組みになり、結局Excelや紙と並行運用(二重管理)になる
効果を測れない:
導入前の作業時間や手順が分からないため、改善できたかどうかを判断できない
業務整理の有無によって、DXの進み方は次のように変わります。
観点 | 業務整理をせずに導入した場合 | 業務整理をしてから導入した場合 |
|---|---|---|
ツール選定 | 機能・価格の比較が中心になる | 自社の課題を解決できるかで判断できる |
導入後の業務 | 旧来の手順が残り、二重管理になりやすい | 新しい業務の流れに沿って運用を始められる |
現場の受け止め | 「仕事が増えた」と感じられやすい | 改善の目的が共有され、協力を得やすい |
効果測定 | 導入前と比べる基準がない | 作業時間・ミス件数などで前後を比較できる |
ツールの検討を始める前に、「この業務の何を、どう変えたいのか」を一文で言える状態を目指しましょう。それが言えない場合は、ツール選定より先に業務整理が必要なサインです。
業務整理は、次の5つのステップで進めると抜け漏れが少なくなります。
目的と範囲を決める:「請求業務の作業時間を減らしたい」など目的を定め、対象とする部門・業務を絞る
業務を洗い出す(業務棚卸し):担当者へのヒアリングをもとに、対象範囲の業務を一覧にする
業務フローを可視化する:業務の流れを図にし、受け渡しや承認のタイミングを明らかにする
課題を整理し、優先順位をつける:ECRS(※)の視点で改善案を考え、効果と手間から着手順を決める
あるべき業務と、デジタル化の範囲を決める:新しい業務の流れを描き、そのうえで必要なツールを検討する

ステップ2の業務棚卸しでは、次のような項目で一覧を作ると、その後の分析がしやすくなります。
業務名 | 担当者 | 頻度 | 所要時間 | 使用ツール | 気になっている点 |
|---|---|---|---|---|---|
受注データの入力 | 営業事務Aさん | 毎日 | 約1時間 | メール・Excel | 同じ内容を基幹システムにも再入力している |
請求書の発行 | 経理Bさん | 月1回 | 約2日 | Excel・郵送 | Bさん以外は手順が分からない |
勤怠の集計 | 総務Cさん | 月1回 | 約半日 | 紙のタイムカード | 手計算のため確認に時間がかかる |
※上記は説明のための例です
最初から全社・全業務を対象にすると、洗い出しだけで疲弊してしまいます。まずは「負担が大きい」「ミスが多い」「属人化している」業務を1〜2つ選び、小さく始めて成果を確認しながら範囲を広げていくのが現実的です。
業務整理は、進め方を誤ると「時間をかけたのに何も変わらなかった」という結果になりがちです。
代表的な失敗パターンと対策を整理します。
失敗パターン | 起こりやすいこと | 対策 |
|---|---|---|
完璧な一覧を目指す | 洗い出しに時間がかかり、改善に進む前に止まる | 主要業務から着手し、粒度は「1時間程度でできる作業単位」にそろえる |
管理者だけで作る | 現場の実態とズレた業務一覧になる | 実際に作業している担当者へのヒアリングを必ず行う |
一覧を作って終わる | 課題が見えても、具体的な改善につながらない | 課題ごとに「担当」「期限」「次のアクション」まで決める |
ツールありきで整理する | 業務をツールに無理に合わせ、現場の反発を招く | 先に目的とあるべき業務を決め、ツールは後から選ぶ |
兼務担当者に任せきりにする | 日常業務に追われ、整理が後回しになる | 推進役と期限を明確にし、必要に応じて外部の視点を取り入れる |
業務整理の段階で現場の協力が得られないと、「本社が勝手に決めた」と受け止められ、その後のシステム定着にも影響する
社内だけで整理を進めると、「これまでのやり方」が前提になり、本来やめてよい業務に気づきにくい場合がある
業務整理の目的を「誰かの仕事を減らすこと」ではなく「みんなの手間とミスを減らすこと」として共有し、ヒアリングの段階から現場を巻き込むことが重要です。社内の慣習にとらわれない第三者の視点を加えることも、見落としを防ぐ有効な手段です。
業務整理は、日常業務を抱えながら社内だけで進めるには負担が大きい取り組みです。外部の専門家と進めることで、次のような効果が期待できます。
他社の支援で培ったノウハウをもとに、短期間で業務の全体像を整理できる
社内の慣習にとらわれない視点から、やめる業務・まとめる業務を見つけやすくなる
業務整理からツール選定・導入・定着まで、一貫した方針で進められる
外部の専門家を活用する場合は、業務一覧や業務フロー図などの成果物を社内に残してもらうことが大切です。整理した内容を社内で更新し続けられる状態にしておくことで、外部への依存を抑えながら、継続的な業務改善につなげられます。
DXの成否は、どのシステムを選ぶかよりも、その前に「業務をどれだけ整理できているか」で大きく変わります。まずは負担の大きい業務を一つ選び、棚卸しから始めてみてください。
DX代行サービス「まるマルDX」は、月額¥100,000から、DXレベル診断・課題整理・戦略策定・サービス選定導入・組織人材育成・運用支援までを一気通貫でご支援します。「業務整理をしたいが、どこから手をつければよいか分からない」という段階からご相談いただけます。すべては、貴社の「笑顔」につながるDXの実現のために。
「まるマルDX」で必要な分だけ、DX専門家にまるっとおまかせください。
「まるマルDX」なら
必要な分だけ、DX専門家にまるっとおまかせ!
資料ダウンロードはこちらから
著者

エス・エー・エス株式会社 ビジネスマネージャー
大内 俊樹
金融・建設業界の基幹システム開発やDX推進を経て、2023年にDX代行サービスとして「まるマルDX」を立ち上げ。顧客のDX診断、戦略策定、サービス選定から導入・運用までを一貫して支援している。 「1の依頼を100で返す」を信念として顧客に寄り添い、伴走しながら本質的な課題解決に向けたアプローチをしていくことが得意。
記事一覧へ戻る
おすすめ記事