DXお役立ち情報
公開日:2026/9/3
# DX
# 人材採用

「DXを進めたいが、社内にIT・情シス担当者がいない」
「経理や総務が兼務でIT対応をしていて、これ以上任せるのが難しい」
——このような悩みを抱える経営者・担当者の方は、決して少なくありません。
専任の情報システム部門を持たない中小企業にとって、DXは「進めたくても、進め方が分からない」テーマになりがちです。
本記事では、そうした状況を前提に、IT担当者不在の企業が直面しやすい疑問と、その解決策を整理します。
社内にIT・DXの専任担当者がいない会社では、次のような課題が連鎖的に起こりやすくなります。
業務の属人化:特定の担当者しかシステムやツールの使い方を把握しておらず、担当者が異動・退職すると業務が止まってしまう
意思決定の停滞:「何を、どう進めればよいか」を判断できる人がおらず、DXの検討自体が後回しになる
情報セキュリティ対応の遅れ:日常業務と兼務でIT対応をしている場合、セキュリティ更新や運用ルールの整備が追いつかない
ベンダー対応の負担:ツール選定やベンダーとの調整を、専門知識のない担当者が兼務で担うことになり、判断に時間がかかる
これらの課題は独立して発生するのではなく、「属人化 → 意思決定の停滞 → 対応の後手化」という悪循環を生みやすい点に注意が必要です。放置すると、業務の非効率だけでなく、セキュリティリスクの増大や競合との差の拡大にもつながります。
まずは自社が上記のどの段階にあるかを棚卸しすることが出発点になります。属人化しているツール・業務を洗い出し、「誰が」「何を」「どこまで」把握しているかを可視化するだけでも、次に取るべき対応の優先順位が見えてきます。
IT・DX人材を採用しようとしても、次のような壁に直面する会社が多く見られます。
課題 | 内容 |
|---|---|
採用コスト | IT・DX人材は採用市場での需要が高く、人材紹介を利用する場合は紹介手数料が理論年収の30%前後になるケースも一般的だと言われる |
採用競争 | 大企業や同業他社とも人材を奪い合うことになり、中小企業では母集団形成自体が難しい |
育成コスト | 採用できても、業界知識や自社業務の理解には育成期間が必要 |
離職リスク | 専門人材ほど転職市場での需要が高く、定着しないリスクがある |
採用は選択肢の一つですが、「すぐに」「継続的に」DXを進めたい会社にとっては、必ずしも最短ルートとは限りません。
「採用」と「外部活用」は二者択一ではなく、段階に応じて組み合わせる発想が有効です。まずは外部専門家の力を借りてDXの土台(現状整理・戦略・体制設計)を作り、社内に定着させながら、必要に応じて内部人材の採用・育成を並行して進める、というのが現実的なアプローチです。
IT・DX人材を自社で採用・育成する代わりに、外部の専門家を「一時的に、あるいは継続的に」活用するという選択肢があります。
採用コスト・採用にかかる時間をかけずに、すぐに専門知識を活用できる
必要な範囲・期間だけ柔軟に依頼でき、スモールスタートしやすい
複数の企業を支援してきた知見をもとに、自社に合った進め方を相談できる
DXの現状整理から戦略策定まで、専任担当者がいなくても着実に前進できる
採用・育成にかけていたコストや時間を、他の経営課題に振り向けられる
ただし「外部の専門家」と一口に言っても、支援内容や関わり方には幅があります。選定時に確認すべき具体的な基準を次のセクションで整理します。
専門家に依頼する際に見落とされがちなのが、「導入して終わり」の関係になっていないかという視点です。
選定時には、以下の観点で確認することをおすすめします。
観点 | 陥りやすいパターン | 確認すべきポイント |
|---|---|---|
提案の起点 | 特定のツール・製品の販売が先にある | 自社の業務課題のヒアリングから提案が始まるか |
支援範囲 | ツール導入時のスポット対応のみ | 診断・戦略策定・導入・運用まで一気通貫で支援できるか |
契約の柔軟性 | 長期契約・大規模契約が前提 | 必要な範囲・期間からスモールスタートできるか |
実績の幅 | 特定業種・特定ツールに偏る | 複数業種・複数課題への支援実績があるか |
内製化への姿勢 | 支援内容がブラックボックス化しやすい | 運用ノウハウを社内に残す仕組み(記録・引き継ぎ)があるか |
契約前に「どこまでを外部に任せ、どこからを社内で引き取るか」の線引きを、パートナー側とすり合わせておくことが重要です。この線引きが曖昧なまま進めると、次に挙げる依存リスクが顕在化しやすくなります。
外部パートナーへの依存度が高くなりすぎると、社内にノウハウが蓄積されにくい場合がある
担当者が変わった際に、外部パートナーとのやり取りの経緯が社内に残っていないと、再び属人化を招く
依存リスクは「契約の設計」で一定程度コントロールできます。具体的には、以下のような取り組みが有効です。
定例の報告・打ち合わせを設定し、進捗と判断根拠を議事録として社内に残す
導入したツールの設定内容・運用ルールをドキュメント化してもらい、社内で参照できる状態にする
「将来的に内製化する部分」と「継続して外部に任せる部分」を、契約更新のタイミングで見直す
運用の内製化を見据えた支援体制を選ぶことが、依存リスクを抑えながら外部の専門性を活用するポイントです。
IT担当者不在の会社がDXに着手する際は、いきなりツール導入から入るのではなく、次のような順序で進めると失敗が少なくなります。
現状診断:業務のどこが属人化しているか、どのツールが使われていないかを洗い出す
課題整理:洗い出した課題に優先順位をつけ、経営課題との関連を整理する
戦略策定:どの範囲を、どの順番で、どこまでデジタル化・変革するかの方針を決める
ツール・サービス選定/導入:方針に沿って必要なツールを選定し、導入する
組織・人材育成:導入したツールを使いこなせるよう、社内の運用体制を整える
運用支援:定着状況を確認しながら、必要に応じて内製化・改善を進める
この一連の流れを自社だけで設計するのが難しい場合、最初のステップ(現状診断・課題整理)だけでも外部の専門家に相談することで、その後の進め方が明確になります。
IT担当者が不在の会社にとって、DXの第一歩は「採用」だけではありません。外部の専門家を「伴走パートナー」として活用することで、無理のない形でDXを前進させることができます。
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著者

エス・エー・エス株式会社 ビジネスマネージャー
大内 俊樹
金融・建設業界の基幹システム開発やDX推進を経て、2023年にDX代行サービスとして「まるマルDX」を立ち上げ。顧客のDX診断、戦略策定、サービス選定から導入・運用までを一貫して支援している。 「1の依頼を100で返す」を信念として顧客に寄り添い、伴走しながら本質的な課題解決に向けたアプローチをしていくことが得意。
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